キューブリック百物語

これは僕がもう少し若い頃に

舞台監督さんから聞いたお話です。


その方は


“見える”方で

劇団員一同、背後霊さんをみてもらったり
「あそこにいるよ!」なんて教えてもらったりしていました。

電車の中で「手」だけの霊がいるんだ
とか
海外の処刑場跡地を見たときは地獄のようだった
とか
いろいろな実体験を教えてくれました。

見えてもいいことなんてないから
見えないほうがいい。
と言っていた。


その方が、

ある舞台ので舞台監督をしていたときの本当のお話です。




その方が関わっていたある作品で


初日も無事迎え

客入りも大盛況で

何事も無く、中日を迎えました。


成功を祝い


劇場の奈落にある広い空間で

座組で宴を催そう!

という運びになりました。



みんなで車座になり

乾杯をし


楽しく語らいました。



舞台監督の助手をしている人がいて



その舞台監督さんが忙しくて行けないときなど

劇団さんの稽古を見に行ってくれたりしていました。


その助手さんが不意に

「そういえば、あの子はどうしたんですか?」


と言いました。


「あの子?」


と聞くと


通し稽古を見に行ったときに

主人公が我が子の死を悼むシーンで出演していた
女の子が

劇場入りしたら出ていなくて

どうしたのか?

と思っていたのです。


座組のみんなに聞いても


いや、そんな子はもともと出演していない

何かの間違えではないのか?

という回答。



その時ピンと来ました。


そうです


その助手さんも“見える”方だったんです。


舞台監督さんと助手さんで

それに気づいたときにはもう手遅れでした。


宴の人数が増えていました。


そして


次第にその増加は増し


すぐに

宴の車座のまわりにもうひとつの車座ができました。


劇団の方たちは
それに気づくこと無く
宴に興じていました



霊たちは


何をするということもなく


ただただ宴を見ていました。


舞台監督さんと助手さんは

ただ、現状を見守るしかできません。


そして
しばらくすると


来た時と同様に
次第に数をへらし



いなくなりました。



座組のメンバーでそれに気づいているのは

その舞台監督さんと助手さんだけです。



こんなにたくさんの数の霊に囲まれたのは初めてだということです。


劇場

という人が集まるところには
楽しそうだという雰囲気にあてられ
霊たちがよく集まるそうです。

客入りの悪い公演で
“見える人”が「いや~満員だったね~」
と言った。
という事例もあります。


その霊たちも
別に悪い霊ではなく、ただ、楽しみたかっただけだと言います。


プロフィール

千田剛士

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出演動画

シアターキューブリック
『誰ガタメノ剣』
2010年 紀伊國屋サザンシアター


シアターキューブリック
『ベイクド・マンション』
2009年 シアターサンモール


シアターキューブリック
『銚電スリーナイン』
2008年 銚子電鉄車内
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