つかこうへいとインプロと

先日、つかこうへいさんのドキュメント番組を見返してみた。

僕の十年来の友人であり、演出家であり、兄のような人でも在る
カプセル兵団の吉久さんが、『熱海殺人事件』に出演するというから見に行ったからだ。
実はちゃんと生で『熱海〜』を見るのは初めてだった。お恥ずかしくも。

いつも「熱」で芝居する人だから、さぞかし似合うだろうと思っていた。
事実、頑張っていた。どうやら、つか芝居をとても気に入った様子。ボロボロになるまで台本と格闘したと言っていた。
そう。格闘したんだなぁと思い、うれしくなった。
つかさんの台本は、今となっては古い。だけど、現代、さんざ芝居をし尽くした人が嬉しそうに作品に立ち向かっている。そういった魅力がやはりあるのだ。

僕をこの世界に引っ張り込んたのも、たぶんつかさんの作品だったりする。
正確には、去れなくさせた方かなぁと思うけど。
大学に入って演劇をやろうと思って初めて出会った作品が『飛龍伝』というつかさんの本。
しかも、「10日後には本番だよ!人数まだ足らないんだけどユー出ちゃえよ(^^)」みたいな感じで。
実際は、もっとちゃんと誘われたんだろうけど、もうずっと前過ぎてこんなノリだったと思ってる。
すでに、ほぼ完成しそうな状態の中にいきなり放り込まれた。
大学演劇だからって、レベルが低いとか全くない。
しかも、つかさん全盛期。つかさん大好きさん達が揃いに揃っていて、その意気たるや、その集中力たるやパツンパツンである。
すごかった。たった10日の出来事なのに、いまだ、かなりの量のセリフ、しかも全体のものを覚えているし、
みなさんがどんな芝居をしていたかも鮮明。
『飛龍伝』という作品は今だって最高だと思ってるし、チャンスがあればまたやりたい。
誰とでもいいってわけじゃなくて、あの時のメンバーとまたやりたい。

つかさんの番組で、関係者の方がつかさんの魅力を語っていた。

「なんだか役者が大きな声で叫んだり、憤ってたりしててもう凄いんですけど、気づいたら僕、号泣してるんですね。もう命をぶつけられてるっていうか。ストーリーは後回しでもいいんじゃないかってぐらい、なにか、なにか凄いものを見たっていう」のような事を。

当時、演劇をやっていたひとたちって、こういうものを追い求めていた人が多かった。
パッション
って言っていた。

僕の中には今でもこの「パッション」が演劇の基になっているんだなぁって最近はまた特に思うようになりました。

なんで、僕、インプロをはじめたんだろう?
って時々思うし、今も時折インプロをやる。なんでだろう?

インプロが何なのかわからない方のために必要な部分だけいうと
インプロは即興のことです。
日本ではまだまだマイナーな単語ですが、欧米では即興で何かやることをインプロで〜とよく使うそうですよ。
僕がやっているのは演劇のインプロで、もともと俳優の養成のためにあったものを、とある方々が見せ物として
ショー形式に昇華させたものを学ばさせて頂いております。

台本で演劇をやるのが僕の仕事なのですが、
当然、インプロには台本もなく、次何が起きるかわかりません。
代表的なルールとして「YES AND」があります。
相手のアイディアをYES!して、自分のアイディアをANDしていく。
否定はぜったいにしない。上下関係もない。「今」起きたことをみんなでYES!し続けて、ストーリーなどを作っていく。
皆がとても仲良くなるし、明るくなるし、明日からが楽しくなる。
ルールはシンプルなので、だれでも始めることができる。誰とでもできる。
そんな事もあって、俳優も、俳優じゃない人もインプロを演る人が急増している。

しかし、「YES AND」ってそんなに生易しいものじゃないなぁって思っています。
どんな事にもYES!しなくてはいけない。
これって凄くたいへん覚悟がいる事だと僕は思うからです。
嫌なことだっていっぱいあるからです。

説明はぶきますが
なのでインプロをしていると、時折、冷や汗をびやっ!ってかきます。

つかさんの番組を見ていて、関係者がいつのまにか号泣する!と言っていて
この冷や汗を思い出しました。
つかさんは、「口だて」という手法を使っていました。
稽古でどんどんセリフを変えるんです。
その俳優だけにしか吐けないような言葉を探していくんですって。
俳優はその時、その瞬間に、つかさんからセリフを次々と与えられ、その場で作りこんでいく。
気が気じゃないが、つかさんの送り込んでくる言葉はどんどんしっくりいっていくそう。
パッションが、つぎ込まれていくのだろうと思う。
インプロをしている時に大事なのは「今」を生きることなんですが、
それがこのパッションと凄くリンクしたんですね。

現代でなかなか、台本芝居とインプロって、なかなか融合していかないんですけど、
僕の中では実につながっていて、
芝居を作る中で、元にあるものでも、経過で使うものでもなく、常にあるものだったりするんです。
だって、パッション。
お客さんに渡したいものはいつだってコレで、そうじゃなかったら作ってもしょうがなかったり、するんです。
プロフィール

千田剛士

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シアターキューブリック
『誰ガタメノ剣』
2010年 紀伊國屋サザンシアター


シアターキューブリック
『ベイクド・マンション』
2009年 シアターサンモール


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『銚電スリーナイン』
2008年 銚子電鉄車内
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